男が意識不明の重態になって数ヵ月

男が意識不明の重態になって数ヵ月、たまに意識は回復するもののずっと寝たきりである。
しかし、彼の妻は一日も欠かさずベッドのそばで看病を続けた。


ある日、彼が意識をとりもどし妻を手招きした。
妻が近づくと彼は目に涙をいっぱいにためてささやいた。
「お前は私がつらいときはいつもそばにいたよな。私がクビになったときも、一番近くで支えてくれた。
 ビジネスが失敗したときも、私が撃たれたときも、家を失ったときもそうだ。
 私の健康が悪化しても、それでもお前は私のそばにいた。…なあ、お前」
「なあに。あなた」
妻は優しくたずねた。彼女の胸はいっぱいになり、笑みがこぼれた。


「お前はさげまんだな」