僕はどちらかといえば、社交的な類ではなく、家に引きこもることを好む人間だ。

僕はどちらかといえば、社交的な類ではなく、家に引きこもることを好む人間だ。か
といって、世間とやらで問題となっているところの、そういう類のものでもない。単
に俗物の世界をあまり好かないだけなのだ。


しかし、いつまでも世間を嫌い、学生の身分に甘んじていられないことは僕自身が一
番分かっている。そういえば去年も同じことを考えていた。こんな僕でも、当然現実
社会に打って出るべく、去年就職活動なるものを人並みにはやってみたのである。俗
物の世にでるからには、できることなら自分の希望を叶えたいと、会社を選り好みし
すぎ、すべからく全滅してしまったのである。そして僕は留年を決意したのである。


世間からしてみれば、このご時世、何を贅沢をなどと怪訝な目で見られることは百も
承知だ。しかし、逝きたくもない会社に行くなどということは、僕は考えられなかっ
たのである。


そう、僕はシュールなリアリストであると同時に、ペシミスティックな引きこもりだった
のである。