まだ物心付いて間もない頃、兄の運動会に家族で行く事になった。

まだ物心付いて間もない頃、兄の運動会に家族で行く事になった。
母親が朝早く弁当を作っている横で暇だった俺は、台所でぶらぶらしてた。
その様子をみかねてか、アイスが冷凍庫に入ってるよと母親。
俺は喜び、背伸びをしながら冷凍庫を開けた。
すると突然、体長5ミリから1センチぐらいの小さなゴキブリが飛んできた。
俺は一瞬の出来事で訳が分からなく、顔を背けたと思う。
運が悪い事にゴキブリの着地した所は、耳あたり。
暗い所に逃げ込む習性のゴキブリは、迷わず耳の穴へGO!


短時間で鼓膜まで到着したのか、大きなガリガリという音と共にかなりの痛みが走った。
親が異変に気付いて、俺を横にし耳に光を当てたり、煙草の煙を吹きかけたりと試みたが逆効果。
結局、耳鼻科に電話して開業前だったが診察して貰える事になった。
診察してる間も、音と痛みは取れず 俺は泣き叫んだね。
医師は光を当て、ピンセットで耳の中のゴキブリを取ったのだが、取れたのは胴体の後ろ半分だけ。
胴体半分なってもなお続く、ガリガリ音と痛み。
その時ほど、ゴキブリの生命力の強さを感じた事は無いよ。